2008年05月27日

その2 分与できる財産

婚姻後に、夫婦が協力して得た財産は原則として分与の対象となります。

夫名義の不動産、妻名義の預金口座など、名義とは関係なく、婚姻後に2人で協力して得た財産ならば分与の対象となります。

保険も解約返戻金があるものは分与の対象財産となります。株券、社債などの有価証券、投資信託なども忘れないようにしましょう。

そのほか、絵画や骨董品などの経済的な価値のある動産は当然分与の対象となります。家電製品や家具なども経済的価値が認められれば分与対象ですが、新品でもない限り一般的には経済的価値は認められないので、家庭裁判所では分与の対象外とされることが多いです。


退職金の財産分与

退職金については、「退職金を受け取れるのは妻のサポートがあったから」という考え方が成り立つので、当然分与の対象となります。

また、将来支払われる退職金も財産分与の対象となることもあります。とはいえ、退職金が支払われるかどうかは不確定な部分もあるのですが、少なくとも支払われることが確実な退職金は財産分与の対象となるといってよいでしょう。


年金の分与について

熟年離婚を考える人たちにとって、退職金と同様、大きな問題になるのが年金をどう分けるのかという点でしょう。

2008年4月以降から、夫婦が離婚状態にあると認められれば、請求に基づいて2分の1を受け取れることができるようになりました。

年金の分与については年金分割についてをご覧ください。


会社や個人事業について

夫婦の一方が会社を経営している場合でも、会社や会社の財産は財産分与の対象にはなりません。会社は法人格が認められ、第三者として扱われるからです。

しかし、会社の株式を所有していれば、それは財産分与の対象になります。

また、個人事業の場合であれば、営業権や営業用の財産も分与の対象となります。


財産分与の対象とならないもの

結婚後に2人で協力して取得したものでないものは、特有財産といって財産分与の対象とはなりません。

婚姻前に夫婦の一方が取得した財産は、財産分与の対象とはなりません。花嫁道具としてもってきた家具や、結婚にあたり夫婦の一方が親から買ってもらったものやあるいは贈与された新居は対象になりません。

また、不動産などを2人で協力して取得したのではなく、婚姻中にどちらかの親族から相続したとか、贈与を受けたという場合も対象になりません。

これら特有財産については2人の共有財産ではなく、どちらか一方だけの所有が認められるのです。


資格について

夫婦の一方が医師免許、会計士などの資格を取得した場合、それが他方の協力によって取得できたという場合には、その点も財産分与の算定において考慮される場合もありますので、詳細については弁護士に相談しておいたほうがいいでしょう。


夫婦共有財産リストを作成する

財産分与について夫婦間で話し合う場合は「夫婦の協力によって築き上げた財産」のリストを作成しておくのがいいでしょう。できれば、より詳細なリストを作りましょう。

詳細なリストを作成しておけば、話し合いがより具体的になりますし、話し合いがまとまらず、万が一、調停等になった場合にとても役立つからです。

リストを作成する際には、各財産の評価額も記載しておくと、財産分与をわかりやすく公平に行うことができます。

現金や預金のように金額がそのままわかる場合の評価は簡単ですが、不動産や車については、離婚時の時価で評価することになります。

不動産の場合、正確な評価は不動産鑑定士が行うことになりますが、おおよその評価額であれば、不動産屋さんに問い合わせたり、路線価等を参考に決めることができます。

車の場合は、同型の車の中古価格を参考にするのがよいでしょう。

その3 財産分与はどのように決まるのか?へ進む



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