2008年05月26日

その7 協議離婚を無効にする方法とは?

不受理申出を提出する

離婚する意志や離婚届を出す意志がないのに、離婚届が勝手に提出されるおそれがある場合には、離婚届を役所が受理しないように「不受理申出」をしておくと良いでしょう。

離婚届に署名、捺印した状態で相手に預けてしまっているが、離婚したくなくなったというケースなどに戸籍実務上用いられている有効な手段です。

この「不受理申出」の手続きは、市区町村役場にて「不受理申出書」を提出して行いますが、「一度提出したからもう安心」というわけにはいきません。

「不受理申出」の有効期間は「6ヶ月」です。6ヶ月以降も離婚届を勝手に受理されたくないという場合は、再度「不受理申出書」を提出しなければなりません。

つまり6ヶ月ごとの更新が必要になるわけです。

「不受理申出」の有効期間内に、夫婦間で改めて離婚の合意ができた場合は、申出人本人がまずは「不受理申出」の取下げをしてから、「離婚届」を提出することになります。

・不受理申出書は市区町村役場の戸籍係に常設されています。
・届出人の印鑑と届出人の身分証明書類(免許証やパスポート)などが必要になります。

 【不受理申出サンプル】      ※クリックで別窓で拡大します。不受理申出サンプル


不受理申出を出されてしまったら

不受理申出がされると、届け出た本人が取り下げない限り、原則として6ヶ月間は離婚できないことになります。

夫が不受理申出をするということは、「離婚をしたくない」という強い意志があるということです。妻が離婚をしたければ、夫に不受理申出を取り下げてもらう必要があります。

もしかすると「養育費も慰謝料も財産分与もいらないからとにかく離婚してください」と言えば、夫が「離婚もやむを得ないか」と考えてくれるかもしれません。ただ、これでは離婚後の生活に不安があります。

このような場合は、あまりにも自分に不利な条件を出したりせず、家庭裁判所に調停を申し立てたほうがよいでしょう。


協議離婚を無効にするには調停を申し立てる

本人が知らないうちに配偶者が離婚届を出してしまった場合や、不受理申出が間に合わず離婚届が受理されてしまった場合、どのように無効を主張すればいいのでしょうか。

法律的に言えば「双方の離婚の意志」が一致していないならば、その離婚届は無効になります。

しかし、役所に申し出るだけでは無効は認められません。その際には、協議離婚無効確認の調停を申し立て、家庭裁判所に無効であることを宣言してもらう必要があります。

この調停の段階で、相手が離婚届の無効を認めていれば、離婚無効の審判によって無効が確定されることになります。

ところが、勝手に離婚届を書いて提出してしまうような状況で、すんなりと「私が一人で書いて提出しましたので無効にすることを同意します」というとは思えません。

まさに双方の意見が真っ向から対立している状況です。勝手に離婚届を出されたほうにしてみれば、腹立たしい限りですが、主張が食い違えば無効の審判はできません。

その後は、家庭裁判所に離婚無効の裁判を起こさなければなりません。

裁判の結果、離婚無効の判決が下れば、その確定した判決の謄本を持って役所に戸籍の訂正を申請します。そこまでの手続きが終了して、晴れて離婚が無効になるというわけです。

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